グッドデザイン賞と住宅

1.グッドデザイン賞の概要

 グッドデザイン賞は、デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動として、かたちの有無にかかわらず、人々が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・表彰している。

 この賞は、1957年に通商産業省により、「グッドデザイン商品選定制度」として、メイド・イン・ジャパンの製品の輸出振興のために創設された。そして、1998年に現・公益財団法人日本デザイン振興会が承継(民営化)し、新たに現在の「グッドデザイン賞」として、国内唯一の総合的デザイン表彰制度となっている。

グッドデザイン賞

2.応募・審査の概要

<応募対象>

製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど様々である。主に、住宅が関わる応募カテゴリーは、以下の2つに分けられる。

①建築:主に戸建て住宅~小規模集合住宅

・商品化・工業化住宅、戸建住宅、小規模集合住宅、住宅関連システム

②建築:主に大規模集合住宅(分譲地・マンション)

・延床面積1,000㎡以上・15戸以上の中〜大規模集合住宅・団地・街区開発

<審査方法>

1次審査:書類審査(WEB上で、登録項目を記載しエントリー)

2次審査:会場展示審査

基本は、応募対象の現品を展示するが、住宅(建築物)の場合、現品の展示はできない。そのため、①建築物の概要(A1縦サイズパネル1枚)、②詳細プレゼン資料(A3横サイズ10ページ以内)の2つを展示することとなる。

<2022年度の実績>

2022年度は、応募数5,715件、受賞数1,560件、受賞率27%であった。

3.住宅におけるグッドデザイン賞受賞事例

(1)株式会社平成建設【住宅+認可外保育 「Kids Home ぶどうの木」】

 都心に建つ、住まいの1階部分を「認可外保育+こども食堂」として街に開いた住宅。本計画では、敷地の約半分を屋外として扱うことで奥行きのある外部空間を街との接点として位置付けている。建物を印象づける木の大屋根が内外を緩やかに繋ぎ、住まいの空間と共存しながらも、こども達が安全にのびのびと過ごせる居場所をつくりあげている。

(2)株式会社リビタ【HOWS Renovation 「国立の家」】

 築30年の戸建て住宅をスケルトン・インフィルにて改修したプロジェクトである。予め現行法への適合と耐震・断熱改修の計画を立て、スケルトン状態で販売をし、暮らし方に合わせてインフィル計画を住まい手とともに考えた。建物の基本性能と遵法性を確保した上で顧客の自由設計ニーズを実現する、新たな中古住宅流通へのチャレンジである。

4.デザイン力を競争力に

 経済産業省では、「デザイン経営」をデザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用し、企業の競争力向上を図る手法と位置付けている。

そのため工務店・地域住宅事業者のグッドデザイン賞への応募も近年増加傾向にある。特に、デザイン力(設計力、思想)に自信を持つ工務店、地域住宅事業者は多い。その自信について、社会の“お墨付き”を得ることができると、何より営業面・販売面でお客様に自信を持って訴求ができ、お客様も選択がしやすい。

 ぜひ、地域の工務店や小規模住宅事業者もグッドデザイン賞などを活用し、自社の競争力向上を目指して欲しい。

住宅ビジネス研究会では、工務店・地域住宅事業者様のグッドデザイン賞受賞に向けたサポートを行っています。ぜひ、お問い合わせください。

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