金融機関向け研修の受託実施

 当研究会では、金融機関から住宅ローン審査に関連して戸建住宅の価格相場への素養を深めていただくことを目的とした研修を受託実施しました。

1.プレーヤーの特徴理解が重要

 戸建住宅の住宅ローンは金融機関が現地に赴くことが殆どなく、書面審査で諾否を判断するため、営業、請負や売買、施工などの適切性判断に限界があります。

 そこで、大まかに戸建住宅供給のプレーヤーをハウスメーカー、パワービルダー、工務店に大別し、それぞれの区分の代表的プレーヤーが中心価格帯、営業・集客、仕入れ・施工体制、アフターケアなどについてどのようなスタンスを取っているのかを理解することが審査の心証を形成する上で重要となります。

 中心価格帯と営業手法がターゲット顧客を規定し、仕入れ・施工体制が施工品質やアフターケアを規定するからです。

2.見積りを見ても価格の妥当性判断は困難

 研修ではプレーヤーの区分別に見積実例を提供したのですが、それらをみても価格の妥当性が判断できるわけではないというのが結論です。様々な建材やリビング・和室などの写真も多く提供し、ビジュアルにハイエンドな建築資材が多く使われているイメージとミドル・ローの建築資材が使われているイメージを脳裏に焼き付けているほうが妥当性判断には有効です。

3.相場はあるが一物百価

 同じ資材でもプレーヤーのバイイングパワー(購買力)で仕入れ値は変わるし、手間代(職人の作業賃)もバラバラなので、相場は存在してもピンポイントの正解価格は存在しないのが現実です。

 それでも外構コストは使用部材でコストの蓋然性を判断しやすいけれど、太陽光発電設備などは発電性能と価格の相関関係が非常に低いなど、顧客の財布の中を覗きながらの値付けと勘ぐりたくなるくらいです。

4.現場で起こっていることへの想像力を養う

 筆者の経験上、あるマンションでローン申込者の30%が信用情報ブラックだったことがあります。これは事業者の営業スタンスが極めて強引であったことに起因します。

 事程左様に、現場で起こっている(いた)ことの痕跡を辿れば、今後の審査では想像力が働きます。

 年1~2回でも、建売住宅で正常案件ばかりの団地とデフォルト案件が複数出ている団地を見に行くと、周辺環境を含めその違いが歴然と感じられるはずです。

 実際の机上審査では、審査案件から読み取れるイメージとそのイメージに近似する実際に見てきたイメージとを照らし合わせて現場を想像し、それを言語化して諾否判断に繋げることが大事であるということです。

住宅ビジネス研究会では、企業様の研修に、講師の派遣を行っています。ぜひ、お問い合わせください。

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