優良工務店でも改善するべき点は多い

以下は、地域でも有力な某工務店が抱える課題の改善を手掛けさせていただいたときの感想です。

1.対外的には優良でも利益が出ない

その工務店はこれといった人的営業をしなくても、施主様が施工を頼み込んで来て、コンスタントに受注を取れています。施工品質も高く、施主様の多くは大変満足されているご様子です。でも、最近数年間は利益が殆ど出ていないのです。何故でしょうか。

2.見積り・実行予算の承認プロセス、コスト進捗管理がなかった

工事原価から客先提示見積りを作る際に上乗せする粗利益率の社内基準は設けられているのですが、案件を受注する都度の客先提示見積りと実行予算(≒工事原価)の社内承認プロセスやコスト進捗の報告プロセスがなく、現場ごとの施工管理者任せになっており、会社として案件ごとの予定粗利益や施工中のコスト状況が把握できていないのです。

幸い内部留保として一昔前の儲けが積み上がっているので資金ショートは起こっていないのですが、極めて緩い管理状態です。

3.社内情報共有も殆どない

もう1点は、社内での情報共有を促す仕組み(会議体)が数年前から皆無となっており、部署が異なると取引先からは「まるで別会社のよう」と揶揄されることも。

部署ごとに繁閑があっても応援体制が組まれることはなく、従業員側も自部署だけにしか関心がなくなっている模様なのです。

4.茹でガエルになっていないか?

今でも受注は好調です。だからこそ経営者の言動も、緩い経営管理と自部署[命]の文化を強化する方向で作用しているようです。

果たしてこの工務店は今後生き残れるのでしょうか。施工品質は高いので、3~5年先までは受注が取れなくなる可能性は低いでしょう。

しかし、今後も利益が出ない、そのことについて経営が改善施策を打たない、部署ごとに孤立が常態化するとなれば、愛想を尽かして優秀な人材が離れていくリスクを経営側は認識するべきではないでしょうか。