地域建設企業の事業継続計画(BCP)の取り組み
新型コロナウイルの感染が長期化しているからか、「事業継続計画(BCP)」の言葉を聞く機会が増えたようです。また、自然災害はもとより、富士山噴火等への対応も話題となっています。ということで、「中小建設業のBCP取り組み」について考えてみました。
1.アンケートに見るBCP策定の関心度
直近の2021年の調査で、対象業界や企業規模のバランスも良いと思われた「帝国データーバンク 事業継続計画に対する企業の意識調査」からの抜粋です。
●事業継続計画策定企業:17.6%(内訳:大企業30.6%、中小企業14.6%)
●想定リスク:自然災害72.4%、情報セキュリティ32.9%
●策定出来ない理由:策定ノウハウの欠如41.9%、人材がいない29.3%
2.建設業がBCPに取り組む意味
BCP策定企業の比率は意外と小さく、特に、中小企業は1割台です。とは言え、内閣府による2013年の調査では建設業界での策定率は31.2%とあります。建設業は生活基盤としての住宅建設や上下水道等の社会インフラ、道路等の物流インフラの整備・保全を事業の基盤とし、特に地域の中小建設業にとってBCPへの対応は欠かせない社会的使命と考えます。
3.建設企業のBCP作成例を見る
「地域建設企業の事業継続計画(簡易版)作成例(第5版) (一社)全国建設業連合会」により、BCPの内容を確認してみます。
●対象リスクは「地震」を想定。企業規模は「常勤従業者 数十人の建設企業」
●基本方針は「社員・来訪者等の生命・身体の安全を最優先」「二次災害の発生防止」「地域の建設企業として救助・復旧活動に尽力」「得意先の復旧の支援」
●主な内容は「重要業務の選定」と被災状況を想定した「取り組みへの目標時間の設定」、「取り組み体制構築」「拠点・代替施設の選定」等の見直しを含めた設定
4.地域建設企業への「BCPの取り組み支援」
先のアンケートでも、BCPの策定ができない理由として「策定ノウハウの欠如」「人材がいない」が挙がっています。中小企業診断士として、「地域建設企業の実態に合ったBCP取り組み支援」の基本を考えてみました。
●経営者のBCP策定への想いの確認:従業員の安全確保、事業継続力向上等
●組織力の把握:従業員の数/経験/人材、保有資機材、協力業者等
●事業内容:発注者(民間/公共)、元請/下請(専門性)、事業エリア当
●地域性:ハザードマップによる地域把握、地域行政/商工会等との連携状況等