意外と知らない?「地域工務店」の平均像から

1.アンケート調査結果

 5年前のデータですが、一般社団法人木を活かす建築推進協議会が6つの協力団体を通じて施工数年間50棟未満の工務店2,778社から回答を得た「工務店実態調査アンケート報告書」(2017年3月公表)というものがあります。

<調査結果>
◯設立年
 1970年代、80年代、90年代が各20%前後で、1959年以前も10%。 
◯経営者の年齢
 「60歳以上」が過半で「39歳以下」はわずか5%。
◯後継者の有無
 「決めている」と「現経営者で終了」が同数の各32%で、「未決定」が30%。
◯現場施工管理者
 「社員のみ」79%。人数も「1人」58%
◯プレカット利用率
 「9割以上利用」48%で、「手刻みのみ」も14%
◯省エネ仕様の引き上げ
 「取組なし」44%、「平成25年基準」28%

2.工務店の平均像

 浮かび上がる工務店の平均像は、経営者の高齢化(≒現場施工管理者の高齢化)と事業継承の難しさ、また、生産性や省エネ性能などで技術の進化にやや遅れがちな姿でしょうか。

3.水平連携の可能性は?

 もちろんヒト・モノ・カネ・情報力を工務店が単独で満たすのは至難の業ですが、何十、何百の工務店を取引先に抱える地域の材木問屋・建材店や業界団体であれば、共同購買・共同配送・共同教育、果ては共同金融や事業継承マッチングまで仕組みを作ることも可能なのでは?

4.地域工務店業態が生き残るためには・・・

 地域に密着する工務店という業態を残すには、いわば一蓮托生の宿命にある材木問屋・建材店或いは業界団体が強いリーダーシップをとって工務店を束ね、まずはハウスメーカーや広域ビルダーとの業態間競争で対等に近い基礎環境を作り出してあげることが望まれます。